簡単なメモ程度になります。
施設の食事について、考えてみる。
■基本「朝・昼・夕」の食事提供。
・管理栄養士のもと、バランスのとれた献立。
・入居者の方により、好き・嫌い・禁止食あり。
普通食、支援員で細かくする形態。
ミル・ミキサー食、疾病に配慮した食形態。
・水分に関しては、トロミが必要な方もおられます。
薄めの場合や、飲むよりも食べるに近いゼリー状等。
水分補給用のゼリーもあります。
■ご自身で食される入居者の方
・ご自身のペースでゆっくり食される方。
ご自身の食べられる量、加減される方。
・早食い、丸飲み、誤嚥する可能性の高い方。
・あまり食べられない、食の細い方。
本人様の食べられる量、好き・嫌い等。
その日、その時の気分や気持ちにもよります。
食事の提供時間は定められており、ある一定の時間を
過ぎることで破棄せざるを得ない状況になります。
食間の時間帯で「何か食べたい」となった際は、
本人様が購入されておられる嗜好品を提供します。
個人購入が難しい方であれば、ユニット内で購入
している嗜好品を提供します。
・ご自身で食される方でも、口からこぼれてしまう量が
多い場合は、食べることが出来る、とは言い難い。
支援員がお手伝いを行うことは必要ですが、
ご自身で食べる力・能力を奪いかねない場合あり。
見極めが重要になるかと思います。
■ご自身で食べることが難しい方
支援員が食事のお手伝いを行います。
・ご自身で食べる力があると思われるが、
食べる意欲・気持ちが低下されている。
お手伝いが必要な場合もあります。
お手伝いをし過ぎることで、依存度が高くなり、
ご自身で食べる力・能力を奪いかねない場合もあり。
お手伝いを行わない場合は、本当に食べれない為、
見極めが難しい所です。
例えば、何日間が飲まず食わずの状態が続いた場合、
極限状態であれば、ご自身で食べようとされるのか?
様子を伺いたい思いはありますが、現実は難しいか…
・ある程度、意識が保たれている方。反応がある方。
咀嚼・嚥下機能…口が開き、噛む、飲み込む等の
一連の動作を見極めます。
最期の瞬間まで、可能な限り経口摂取を行います。
口腔内を湿らして、味わって頂くといった形です。
それらは基本の形かと思います。
・「美味しい、酸っぱい、辛い、甘い、苦い、
満腹・空腹」等のご自身の気持ちを言葉で伝えることが
可能な方であれば、寄り添った支援につながり易い。
コミュニケーション・関わりについても同様。
言葉で伝えることが難しい方であっても、様子観察、
表情の変化、甘い物が好物であれば甘い物は大きな口が開く、
好き・嫌いも同様に口の開く間隔が異なる、等で
気づける場合が多いです。
職員側の思いかもしれませんし、正確な答えではなく、
たまたまかもしれません、目安・参考程度になります。
・便秘日数により、食べることが難しい場合もあります。
「満腹、これ以上は食べれそうにない」と言葉で伝えることが
難しい場合は、支援員側の見極めが重要になります。
無理に食べる・食べ過ぎてしまった場合は、嘔気・嘔吐を
引き起こしてしまう時もあります。無理は禁物です。
ただ、食事のお手伝いを行っている際は、大きな口が開き、
いつもと変わらない様子で食事されているように思えます。
口元に食べ物やスプーン等が触れることで、反射的に口を
開かれているだけの場合もありますし、食べたくて食べている
わけではない、とも考えられます。
食べれているとは…一概に判断することは難しい。
■食事のお手伝いをする際、誤嚥や窒息に気をつけます。
・ご自身で食べることが出来る方は、より注意が必要です。
いつも特に変わりなく食されている、と思われがちです。
ノーマークになりがちですが、様子観察は必要です。
・居室にお菓子や食べ物を持ち込まれている方は、より慎重に。
ベッドに横なりながら食べられて、窒息される場合もあります。
24時間365日、ずっと様子を見ているわけではありません。
監視カメラを設置するわけにもいきません。
入居者本人・家族様共に、どうなっても構わない、
好きなように自由に生活して最期を迎えれば本望、等と
承諾頂いた所で、実際に事故が起こってしまった場合は、
どういった言葉、行動に出られるか、分かりません。
日頃の様子観察を行い、細やかな記録・入力が重要かと。
入居者本人・家族様と信頼関係を築けるか、でしょうか。
■食べる楽しみとは…
・義歯がなく、歯茎・口腔内ですり潰して上手に食される方が
おられますが、通常はミル・ミキサー食での食事提供が主。
ある程度の食事量を確保する目的であれば、致し方ないのか。
食べる楽しみ、好きな物を好きな量だけ食べる、等を考えれば
最低限の食事量確保は必要ない、とも思いますが、許されません。
特別養護老人ホームは、病院ではない、と言いながらも、
現実はどうなのか、病院と変わらないのでは、とも思います。
日々の食事量・水分量は細かくチェックしています。
・食べ過ぎる、飲み過ぎる場合は制限する場合もあります。
疾病・身体への負担を考慮して致し方ない場合もあります。
好きなだけ…というわけにはいかない様です。
・ミル・ミキサー食の方であっても、ご自身の好物であれば、
上手に食べることができる場合もあります。
巻き寿司、お寿司、ぼたもち、パン、等といった極めて食べにくいと
思われるものであっても、しっかりと食べられます。
状態低下・終末期であれば、通常の献立ではなく・場合によっては
食事提供を中止して、本人様が食べれる物・好まれる物を
提供する形になります。(日頃、嗜好品として購入する事はあります)
・体重増加により、カロリー制限する場合もあり。疾病も考慮。
減量目的で活動量を増やす取り組み、簡単ではありません。
好きなものを好きなだけ食べたいが、体重増加により、これまで
行えていたことが難しくなる場合がある。理解は得られません。
(浮腫み・体調不良、明らかな病変によるものは除きます)
ご自身でからだを動かすことが難しい場合は、支援員による介助量が
増加します。誰かのお世話になりたくないと思われる方であれば、
嫌がられることもありますし。体重増加、介助を嫌がられるが支援は必要、
介助量の増加による負担も大きくなります。
仕事である以上は致し方ない事ではありますし、理解できます。
今までご自身で行えていたことができなくなる悲しみ・悔しさ等の
部分は、どこまで理解されているのか、受け入れることができるのか、
本音の部分は分かりません。嫌がる行動が見られる場合は、
悔しい・悲しい、受け入れることができない気持ちが強いのかもしれません。
単に嫌なだけかもしれませんし、その部分は分かりません。
・食事摂取量の低下による体重減少、全身状態の低下がみられる場合
高カロリー食、栄養補助食品の提供を行います。
主に飲料、ゼリーやプリン等です。比較的、好まれる様に思います。
普段の食事摂取量が少ない方であっても、栄養補助食品で補いながら
全身状態の維持、向上を図ります。それらがきっかけとなり、
食事摂取量が少しずつ増えていく場合もあります。
・禁止食。好き嫌いの場合は、嫌いな物があまりにも食べれずに
食事摂取量が低下される・本人様や家族様から出さないで欲しいと
希望された場合は、禁止食になることもあります。
禁止食について、細かく設定されている方もおられます。
食べることでアレルギー反応が出現する可能性がある・高い等で
あれば、禁止食になります。
■経管栄養(胃ろう・鼻腔)の方
・経口摂取することが難しい場合、誤嚥・窒息のリスクが高い場合、
常に誤嚥を繰り返す状態・摂食嚥下障害がみられる場合、等。
・一時的に経管栄養、注入食という形をとられて、
摂食嚥下リハビリテーションに励み、再び経口摂取することが
できる状態まで回復された方もおられます。
リハビリ訓練を実施する上で「食べる楽しみ」が意欲となり、
やりがい、生きる目的へ繋がったように思います。
■食行事、いつもと違う日常
・入所されている方で、普通食を召し上がられる方は減少傾向。
ゼリー状に固めた形、ミル・ミキサー使用した水分・ペースト状の方が
多いです。食行事であれば、見た目や味、普通食と異なる形態での
提供となり、ご馳走・行事食という判別は難しいように思います。
(お菓子作りについても同様になります)
いつもと違う、日常での刺激、食べる楽しみを考えながらも、
特別感を味わって頂くことは難しい、理解を得ることが難しい場合もあります。
・行事、いつもと違う日常の変化により、混乱・落ち着かれない場合も
あります。基本である環境の変化について、になるかと思います。
「行事をやらなければよかったのか」ではなく、そういった様子や変化が
見れたことを評価として捉えて、そこまで深く考える必要はないかと思います。
次回も同じような行事を行った場合に、どうなるのか、今回のように
混乱されてしまうのか、予測することが可能ですし…何かしらの原因が
考えられるのであれば、原因分析を行い、修正・改善する必要があります。
または何も考えずに、そういった入居者であると理解することも1つ。
お一人の入居者さま、だけではなく他入居者の方もおられますし、全体を
見渡さなければ、ユニットとしての支援は成立しない。
入居者一人一人への細やかな支援、とは言われますが、現実はそうはいきません。
一部の方への支援増加であれば、公平性に欠けますし、バランスは重要。
現実はそうはいかないと、当たり前として捉えることが大切です。
当たり前として捉えることで、気持ちが少しは楽になるように思います。
基本は大切、忘れてはいけませんが…理想に近づく過程であると。
・ポジティブな要素として、いつもと違う様子、表情の変化等が
見られる場合もあります。良い・悪い・判断が難しい、様々です。
何がプラス・マイナスかの判断も難しいです、自分自身の考え方、
客観的な視点による考え方…最も大切なことは「入居者本人様の思い」で
あることは間違いありませんが、それが分かれば苦労しないと思います。
■そもそも食べたくない方へ
・「もう何もいらん」「死にたい」と言葉が出る方は多いです。
自身の身の回りのことがある程度行える方、認知機能が低下されている方、
「はい・いいえ」「好き・嫌い」といった受け答えがはっきりされている方、
様々です。言葉に語弊があるかもしれませんが、例えば何も食べない期間が
続き、身体機能が低下されて、お亡くなりになられたとしても、それは
本人様が望んだ最期のとき、なのかとも思います。
食べたくないのに、無理に食事を食べさせられる、生き長らえさせられる、
ことの方が辛いのではないのか、とも考えてしまいます。
本当は食べたいが、体調が優れない為、食べることができない。
といった本当の思いがあるとすれば、また考え方が変わってきますが。
職員側や施設側の思いではなく、本人様の「本当の思いを汲み取る」ことの難しさ。
Firebird
テーマ : 考えさせられた事
ジャンル : 福祉・ボランティア